食物繊維で正しい腸活!量よりも種類にこだわりましょう


健康維持のためにと、食物繊維を積極的にとるようにしているという人も多いでしょう。

たしかに食物繊維は、便秘予防や血糖値上昇の抑制など、さまざまな作用があることで知られています。

しかし「摂りすぎるとかえって便秘や不調を招く」ことは、あまり知られていません。

いったいどのような理由で、食物繊維が便秘の原因になってしまうのでしょうか。

その理由や、適度な食物繊維の摂取量について解説しましょう。

便通をよくするのに欠かせない食物繊維の働き


食餅繊維は便秘予防に効果があるということは、広く知られていることです。

食物繊維は小腸の消化酵素で分解されず、大腸まで届くといった特徴があります。

さらに胃や腸の水分を吸収しながら膨らみ、便のカサを大きくしていきます。

大きくなった便は大腸を刺激し、便意を起こしてスムーズな排便を促してくれるのです。

これが、食物繊維が便通によいとされる理由です。

食物繊維を摂りすぎると便秘の原因にもなる


便通をよくするとされている食物繊維ですが、やみくもにたくさん摂ればよいというわけではありません。

むしろ摂りすぎてしまうことによって、かえって便秘になってしまう場合もあるのです。

これは食物繊維が腸内の水分を吸収して、便のかさが大きくなりすぎてしまうことが原因です。

また逆に食物繊維の摂りすぎによって下痢を起こしてしまったり、小腸での栄養吸収の妨げとなってしまう場合もあります。

よかれと思ってたくさんの食物繊維をとっても、かえって腸の働きを悪くし、不調の原因となってしまう場合もあります。

食物繊維の特徴を理解し、適度に摂取することが重要です。

食物繊維には2つの種類がある


「食物繊維」と呼ばれている成分には、実は2つの種類があります。

  • 水溶性食物繊維
  • 不溶性食物繊維

どちらも便通をよくする働きがある成分ですが、それぞれ異なる特徴があります。

水溶性食物繊維の特徴と働き

水溶性食物繊維は、イモ類や果物、海藻類などに豊富に含まれている成分です。

水に溶けるとゼリー状になるのが特徴で、腸内でドロドロ・ねばねばとした質感に変わります。

これによりしっかりと水分を保つため、便を柔らかく排泄しやすい状態にしてくれるのです。

ほかにも小腸での栄養吸収の速度を緩やかにすることなどから、血糖値が急に上がるのを防いでくれる働きも。

またコレステロールを吸着して弁として排出してくれる働きもあるため、血中コレステロールが増えるのも抑えてくれます。

不溶性食物繊維の特徴と働き

いっぽう、不溶性食物繊維は名前の通り水に溶けない成分です。

ざらざらとした質感の野菜や穀類、豆類やきのこなどに多く含まれています。

便のカサを増やして腸を刺激し、排便を促す役割を果たしているのは、主にこちらの不溶性食物繊維の方です。

2種類の食物繊維をバランスよく摂取することが重要

食物繊維の摂取は、一般的に不溶性食物繊維の方が多く取られている傾向にあります。

下記の費用を見てもわかる通り、年齢を問わずおよそ1:3の割合で、不溶性食物繊維を多く摂取していることがわかります。

これは不溶性食物繊維を含む食品の方が、日常的に口にしやすいことも関係しています。

年齢 水溶性食物繊維(g/日) 不溶食物繊維性(g/日)
20-29歳 2.9 9.5
30-39歳 3.2 10.3
40-49歳 3.2 10.3
50-59歳 3.4 11.1
60-69歳 4.0 13.0
70-79歳 4.2 13.7

※令和元年国民健康・栄養調査報告、栄養素等摂取状況調査の結果
https://www.mhlw.go.jp/content/000711006.pdf

お腹の調子を整えるためには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく摂取することが大切です。

1日摂取する食物繊維の量を1としたら不溶性食物繊維はその倍量になるよう接種します。

それぞれ1:2の割合になるよう摂取するのが理想的です。

不溶性食物繊維を摂りすぎてしまうと、便のカサが大きくなりすぎて、スムーズに排泄されなくなってしまいます。

また大腸にしばらくたまったままにしておくと、腸に水分を奪われて、便はさらに硬く動きにくくなってしまうのです。

これが便秘の大きな原因に。

こうした腸の不調は、便秘だけでなくお腹のハリやガスだまり、下痢などを引き起こすことへもつながっていきます。

便を柔らかくする水溶性食物繊維が摂れる食品は?


水溶性食物繊維を含む食材は、ぬるぬる・ドロドロとした粘り気のあるものが多いのが特徴です。

代表的な水溶性食物繊維の成分としては

  • ペクチン
  • アルギン酸
  • グルコマンナン

などがあります。

ペクチンは主に、野菜やイモ類などに含まれている成分です。アルギン酸は、昆布やわかめなどぬめりのある海藻類に含まれています。

グルコマンナンは、こんにゃくの原料となるこんにゃく芋にごくわずかに含まれている成分です。

ただし製品として販売されているこんにゃくの多くは、凝固剤を使用して加工されており、水溶性食物繊維から不溶性の食物繊維へと変わっているため注意が必要です。

水溶性食物繊維を多く含む食品群

  • じゃがいも、だいこん、にんじん
  • ごぼう、玉ねぎ、にんにく、チコリ
  • キウイフルーツ、皮つきのりんご
  • 大麦、オーツ麦
  • 大豆、納豆
  • オクラ
  • 里芋、菊芋
  • もずく、昆布、わかめ
  • こんにゃくの原料、寒天

排便を促す不溶性食物繊維が摂れる食品は?


便のカサを増して腸を刺激し、便通を良くしてくれる不溶性食物繊維。

食べ過ぎるとカサが増しすぎて便秘の原因になってしまうこともありますが、バランスよく食べることでスムーズな排便を促してくれます。

代表的な水溶性食物繊維の成分としては

  • セルロース
  • ヘミセルロース
  • キチン・キトサン

などがあります。

セルロースやヘミセルロースは主に、穀類や豆類、大豆やゴボウなどに含まれている成分です。

キチン・キトサンはカニやエビなどの殻に含まれている成分ですが、ほかにも豆類や完熟野菜、ココアなどからも摂取が可能です。

不溶性食物繊維を多く含む食品群

  • 切り干し大根、ごぼう、さつまいも
  • モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリー
  • 干ししいたけ、えのきたけ
  • ラズベリー、ブルーべりー、かりん、パイナップル
  • 大豆、穀類、ココア、栗
  • こんにゃく(加工済み)、きくらげ、きのこ類
  • おから、ふすま、全粒粉
  • カニやエビなど甲殻類の殻

食物繊維と腸活に関するまとめ

便通を良くしてくれる成分として知られている食物繊維。

ですが、不溶性食物繊維ばかりを多く摂取してしまうと、かえって便秘やお腹の不調の原因になってしまいます。

お腹の調子を整えたい場合には、水溶性・不溶性の食物繊維を、バランスよく摂取することが大切です。

ゴボウなどは一つの食材で水溶性・不溶性両方の食物繊維が摂れる優れた野菜です。

上手に食事に取り入れながら、腸を整えることを意識してみてはいかがでしょうか。

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