長期熟成された生ハムに見られる、白い斑点。
もしかしてこれってカビ?と不安に思われたことがある人もいるかもしれません。
ですがあの白い斑点には、美容にも健康にもうれしいパワーが隠されているのです。
本記事では、生ハムについている白い斑点の正体や、そのパワーについて紹介します。
生ハムの白い斑点の正体は『チロシン』
生ハムの表面には、白い結晶のような斑点がついていることがあります。
もしやカビなのでは?と不安に思われる人もいるかもしれませんが、決して身体に害のあるものではありません。
あの白い斑点の正体は、『チロシン』と呼ばれる非必須アミノ酸成分です。
チロシンはたんぱく質が分解されて発生するもので、長期間熟成されることによって起こる現象です。
熟成が進みチロシンがみられる生ハムにはグルタミンなどのうまみ成分も多く、非常に味わい深いものとなります。
そのためチロシンが多い生ハムほど、高品質でおいしい生ハムである証だともされているのです。
チロシンとは?
チロシンは体内でも合成可能な、非必須アミノ酸と呼ばれるアミノ酸成分です。
ドーパミン、ノルアドレナリン、甲状腺ホルモンなどの前駆体となる成分であり、メラニンなどの合成原料でもあります。
生ハムのほかにも、チーズやタケノコ、落花生などのナッツ類や納豆といった食品から接種が可能です。
※前駆体とは:ホルモンや化学物質など、特定の物質が生成される前の段階にある物質のことを指します。
生ハムのチロシンにはどんな効果があるの?
実はこのチロシン、生ハムのおいしさを引き立てるだけでなく、食べることでさまざまな効果が得られることでも知られています。
チロシンにはいったいどのような効果があるのか、いくつか紹介しましょう。
抜け毛の防止や白髪の予防効果がある
夏の強い紫外線にさらされた頭皮や髪はかなりのダメージを受け、抜け毛や切れ毛といった毛髪トラブルを招きがちです。
そんなときは、艶やかで健康的な髪を育てるたんぱく質(アミノ酸成分)が有効。
そこで活躍するのが、生ハムに発生するチロシンやケラチンといったアミノ酸成分なのです。
チロシンが十分に補われることにより、丈夫でしっかりとした毛髪育成が促進されます。
またチロシンは、黒々とした毛髪を育てるために必要となるメラニン色素の合成原料となります。
白髪が発生するメカニズムにはまだまだ未知の部分も多いですが、加齢やストレスなどによってこのメラニン色素の生成が減少することが原因のひとつだとされています。
しっかりとチロシンを補いメラニン色素の減少を抑えることで、白髪の発生を予防する効果も期待できるでしょう。
ストレスの緩和やうつ病の改善効果も
人は強いストレスを感じると、多くのドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどを多く消費してしまいます。
これらの物質が不足すると、少しの刺激でも過剰に反応してしまい、より強いストレスを受けてしまいます。
チロシンは神経伝達物質のノルアドレナリン、アドレナリンやドーパミンの前駆体となる成分です。
チロシンを補うことで十分なドーパミンやノルアドレナリンを生成し、これがストレス緩和につながります。
またドーパミンが十分に分泌されることで、人は幸福感や喜びを感じやすくなるともいわれています。
このことから前述のストレス緩和とあわせて、うつ病やうつ症状の改善効果も得られるのです。
集中力を高めたいときにもおすすめ
先ほどお話しした通り、チロシンにはドーパミンやノルアドレナリンなどの脳内物質の分泌を促す効果があります。
ドーパミンは脳をやる気にさせる効果があり、アドレナリンやノルアドレナリンは集中力を高めて脳に程よい緊張感を与える物質です。
チロシンによりこれらの物質が分泌されることによって、脳機能が高まり集中力もぐんとアップするでしょう。
記憶力の向上にもつながりますので、試験勉強など集中力を高めて何かを覚えたいといったシチュエーションにもおすすめですね。
慢性的な疲労を回復させる効果もある
チロシンには慢性的に蓄積された疲労を緩和、回復させる効果もあります。
肉体的な疲労よりは、ストレスによって積み重なった疲労や脳疲労の回復に効果的です。
チロシンがアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質の分泌を促すことにより、疲労回復へとつながっているのです。
身体的に問題がないのに疲れが取れない、なんだか重だるい日が続いているというときには、チロシンを積極的に摂取するとよいでしょう。
生ハムの理想的な食べ方
チロシンは糖分と一緒に食べることで、その吸収を高められます。
生ハムなどは果物との組み合わせが抜群によい食材です。メロンやオレンジ、柿や桃などとあわせて食べると、より味わい深く効果的にいただけます。
そのほかにもたんぱく質を生成するためには、ビタミンB6や葉酸といった水溶性のビタミン成分や必須アミノ酸とあわせて摂取することが重要です。
ビタミンB6や必須アミノ酸はチーズから、葉酸はアスパラガスやホウレン草などから摂取が可能です。
チーズなどは生ハムと同様チロシンを含む食材ですので、果物や野菜、生ハムと組み合わせて食べることでより効果的に摂取が可能です。
ぜひ生ハムだけではなく、複数の食材と組み合わせて、おいしく効果的にチロシンを摂取しましょう。
チロシンはサプリメントで補える
チロシンは非必須アミノ酸のため、体内でも合成ができるアミノ酸です。
ですがさまざまな働きがあり、ストレスなどでも多く消費してしまうため、食品などから積極的な摂取が望ましいでしょう。
とはいえ、毎日大量の生ハムを食べるわけにもいかず、十分に補うためには食事だけでは追いつかないという場合もあります。
そうした場合には、チロシン配合のサプリメントなどを上手に取り入れることをおすすめします。
チロシンには毒性がなく1日に体重1kgあたり150mg、3ヶ月継続接種をした場合でも安全な成分です。
ただしサプリメントとして摂取する場合には、過剰摂取に注意が必要です。
摂りすぎてしまうと吐き気や頭痛、疲労感や胸やけ、関節痛などの副作用が起こるケースもあります。
またメラニンを多く生成しすぎてしまい、シミやそばかすの元になってしまう可能性もあります。
サプリメントで接種をする場合には、それぞれの使用量を守り、摂りすぎに注意するようにしましょう。
生ハムの美容効果のまとめ
生ハムの白い斑点は、チロシンと呼ばれるアミノ酸成分が結晶化したものです。
チロシンには集中力を高めたりうつ症状を落ち着かせたりする効果があるとされています。
また白髪や脱毛の予防にも効果的な成分でもありますので、食事による積極的な摂取がおすすめでしょう。
食事だけで足りないときには、サプリメントなどを上手に活用するとよいですね。
生ハムのチロシンは熟成されている証でもありますので、ぜひ美味しく健康的にいただきましょう。