うなぎは「精のつく食べ物」として、古来より親しまれてきた食材です。
疲労回復などにも効果的な栄養素がたくさん含まれているため、夏バテ対策や滋養強壮に食べるという人も少なくないでしょう。
とはいえ「脂質やカロリーが高そうだし、太りそうでなかなか気軽に口にできない」という人も、いるのではないでしょうか。
実はうなぎが太りそうだというのは大きな誤解で、むしろダイエット中にもおすすめの食材なのです。
本記事では栄養価が高く、健康や美容を気にするかたにもおすすめの、うなぎの特徴について紹介します。
土用の丑の日にうなぎを食べる理由とは
うなぎといえば「土用の丑の日」に食べるもの…そう認識している人も少なくはないでしょう。
日本最古の和歌集「万葉集」では、夏バテ防止のために滋養強壮によい「うなぎ」をすすめる内容が謡われています。
これがさらに「夏の土用の丑の日」に食べられるようになったのは、江戸時代に入ってからだとされています。
夏にうなぎが売れずに困り果てたうなぎ屋が平賀源内に相談したところ、「本日丑の日」と店先に張り出してうなぎを売り出すキャンペーンを提案したという逸話が有名です。
最初は1件のうなぎ屋がはじめたキャンペーンが、いつしか地域のうなぎやにも根付き、やがて日本中がそれにあやかるようになったといわれているのです。
夏の土用の丑の日には、ほかにもさまざまな「う」のつくものが「食べるとよいもの」として伝えられています。
ですがやはり、栄養価が高く疲労回復にも抜群の効果があるうなぎが、土用の丑の日に食べる物として根強く浸透していったのでしょう。
うなぎのカロリーって高い?
脂ののったうなぎは、なんとなく印象的にカロリーが高く思われがちです。
しかし一般的によく食べられているうなぎの蒲焼ひと串100g当たりのカロリーは、約293kcal程度です。
たとえばとんかつの場合ですと100gあたり344kcalほどになりますし、和牛サーロインステーキともなれば100g/498kcalにもなります。
これらのメニューと比べると、うなぎは思っているよりも低カロリーなメニューであることがわかるでしょう。
ただしこれはあくまでも「うなぎひと串」のカロリーです。
ご飯を大盛にすれば、その分カロリーは多くなってしまいます。
カロリーを控えめにして食べたい場合には白焼きや蒲焼のみでたべるか、うな重やうな丼を食べる場合にはご飯の量を調節して食べるようにしましょう。
うなぎの栄養価は?
滋養強壮に良いことで知られているうなぎですが、実際にはどれほどの栄養価があるものなのでしょうか。
うなぎには下記のような栄養素が豊富に含まれています。
うなぎ100gあたりに含まれているタンパク質は、23g程度。
脂質は21gで炭水化物は3.1gほどです。
そのほかにも
- ビタミンA:1500μg
- ビタミンB1:0.75㎎
- ビタミンB2:0.74㎎
- ビタミンD:19μg
- ビタミンE:4.9mg
- 葉酸:13μg
- ナイアシン:4.1μg
- カルシウム:150mg
- ナトリウム:300㎎
- カリウム:300mg
- 亜鉛:2.7mg
- 鉄:0.8mg
など、ビタミンやカルシウムなども豊富に含まれているのです。
なかでもビタミンAの摂取量は、数多くある食品類の中でも上位に上るほど。
成人男性のビタミンAの摂取推奨量が850μg~900μg、成人女性だと450~500μg程度だといわれているので、うなぎ100gを食べれば十分に必要量を補えることがわかるでしょう。
またうなぎに含まれている脂質には、身体によいといわれている
- DHA(ドコサヘキサエン酸)
- EPA(エイコサペンタエン酸)
- 一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)
なども豊富。
弱った体を元気にしてくれるだけでなく、美容や健康にもよい栄養素がたくさん摂取できるのです。
うなぎのもつ美容効果
うなぎには美容によい栄養素がたくさん含まれています。
ビタミンAには紫外線によるダメージを抑え、ターンオーバーを促す働きがあります。これによりお肌のシワやたるみ、弾力不足を防いでくれるのです。
ビタミンEには肌の老化をおさえる、抗酸化作用があります。ビタミンAと同様新陳代謝を促すことにより、肌のシミやそばかすなどの発生を抑え、美肌へと導いてくれるのです。また肌の炎症や吹き出物なども落ち着かせる働きがあるため、肌を健やかな状態に整えてくれるのです。
さらにうなぎには、お肌のハリや弾力に欠かせないコラーゲンもたっぷりと含まれています。食べることで補えるのはごくわずかではありますが、プルプルとした弾力やきめ細やかな肌作りにとって非常にうれしい成分でしょう。
うなぎはダイエット中にもおすすめ
ダイエット中はカロリー制限だけでなく、しっかりと燃焼させられる体づくりも必要です。
うなぎはそんなダイエットをサポートしてくれる心強い味方となります。
実はうなぎは「低糖質&高タンパク」と、ダイエット向きの食材です。
さらにうなぎに含まれているビタミンB1は、糖質を代謝する力があります。
糖質をしっかりとエネルギーに変えてくれるため、脂肪を貯めこまず燃焼させることができるようになるのです。
またうなぎの脂質に含まれているオレイン酸には、便秘を解消する効果があります。
むくみなどを解消させるカリウムも豊富なため、体内のナトリウムを調節して、すっきりとさせることもできるのです。
うなぎを食べると健康的に
うなぎに含まれている脂質には、オレイン酸やドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸などが多く含まれています。
これらの成分は血液をサラサラにし、血管を丈夫にする働きがあることが分かっています。
またオレイン酸には、血中の悪玉コレステロールを低下させる効果もあるのです。
うなぎの食べすぎには注意
健康や美容によいといわれるうなぎですが、過度に食べることは決しておすすめできません。
というのも、うなぎにはコレステロールも多く含まれているからなのです。
うなぎ100gに対し、含まれているコレステロール値は430gと多め。
うなぎ自体にもコレステロールを低下させる栄養素が含まれてはいますが、やはり食べすぎは禁物です。
ご飯も含めたカロリーなど栄養バランスをながら、適切な量を食べるようにするのがベストでしょう。
うなぎの美容健康効果のまとめ
うなぎには、美容や健康によい栄養成分がたくさん含まれています。
夏の暑さで体力が奪われがちな時は、積極的に口にするのがおすすめです。
適度な脂質により満足感も得られるため、食べ過ぎを防ぐことにもつながります。
糖質の代謝を高めてくれる効果もあるため、ダイエット中にこそ食べて栄養バランスを整えていきましょう。